ハイスコープの学びの輪

自主性、創造力、問題解決力、学力を養うカリキュラム

ハイスコープを活用した研究結果から「幼児期の質の高い教育は、一生を左右する」ということがデータで示されました。これは、就学前の子どもたちが言語表現や問題解決能力などの学習基盤を身につけられるかどうかが、その後の学びの質や人生にまで影響するということともいえます。
ハイスコープのカリキュラムでは「学びの初心者」である子どもの意欲や好奇心を引き出せるよう、細部にわたり工夫が凝らされています。大人はハイスコープのガイドラインに沿って、子どもの活動が快適に行われるよう配慮した環境づくりやコミュニケーションを行い、子どもたちの学びの意欲に火をつけます。
カリキュラムの内容は、自ら意思決定を行う「独立心」のほか、クラスというコミュニティの一員として「協調性」や「社会性」も身につけられるよう考えられています。そういったカリキュラムによって、子どもはバランスよくスキルを身につけ、就学後の生活にスムーズに馴染んでいくことができます。

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ハイスコープが掲げる「学びの輪」

ハイスコープ独自のカリキュラムを実践するために重要なのが、適した環境や条件を揃えることです。それを図で表したのが「学びの輪」です。ハイスコープでは、アクティブラーニングを「幼児が知識を身につける基礎」であると考え、学びの輪の中心においています。さらに、まわりの環境や条件を整えることで、子どもの学びが活性化すると考えています。それが大きく分けて「大人と子どもの相互関係(シェアコントロール)」「学びの環境」「デイリールーティン」「アセスメント」の4つになります。

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大人と子どもの相互関係(シェアコントロール)

大人と子どもの対等なかかわりによって、子どもの自主性や意欲を高め、学習と発達を促進させる

ハイスコープでは、あそびの活動のなかで、大人が子どもに指示したりなにかを強制したりといった光景はみられません。1日を通して大人が主導権を握る場面はありますが、活動のなかでは子どもにリーダーになってもらったり、子どもの計画やアイデアにしたがって一緒にあそんだりします。大人が子どもから学ぶことも多くあると考え、大人と子どもがギブアンドテイクで主導権を共有しお互いに学び合うことを大切にしています。
褒めるよりも対等な立場で励まし、問題が起きた際はハイスコープの問題解決のステップに従って、できるだけ自分たちで解決できるよう促します。また、子どもに「できる」という自己効力感と自信を与えるため、過度な手助けは行わず、活動のなかで助けが必要な際は、どんなタイミングでどの程度サポートするのがその子の発達段階に適しているか、把握したうえで行います。

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写真提供:みらいくほいくえん

学びの環境

多様な教材・素材を配置し、子どものアクティブラーニングを促進する環境をつくる

ハイスコープの教室では、子どもたちが安心で心地よいと感じる環境をつくるため、ガイドラインに沿った多種多様な教材・素材の用意と、活動するための十分なスペースを確保しています。
ままごと、アート、ブロック、玩具など、あそびの内容によって活動スペースが分けられていて、それぞれのエリアにはさまざまな素材や道具が配置され、子どもにもわかるようラベルがつけられています。
適度な刺激と秩序ある空間は、子どもたちの「やってみたい」「触ってみたい」という気持ちを刺激する魅力的な環境となり、集中とアクティブラーニングを促します。

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写真提供:みらいくほいくえん

デイリールーティン

Plan-Do-Review(計画・実行・振り返り)の時間や、小グループ・大グループ単位での活動がバランスよく組み込まれ、毎日の時間割としてルーティン化されている

ハイスコープでは、子どもが1日を通して快適な気分で過ごすための工夫の一つとして、一日の流れをルーティン化しています。次に何をするか、何が起こるかが分かっていることで安心感につながり、子どもたちは自分の振る舞いをコントロールできるようになります。1日の活動に一貫性と予測があることで、まだ時間の概念が完成されていない子どもでも時間を整理して捉えやすくなり、活動の順序や継続時間について考える能力も育まれます。
1日の活動は、高度な思考スキルが養われる「プラン・ドゥ・レビュー(計画・実行・振り返り)」の時間を含め、バランスよくさまざまな経験と学習ができるように配慮されています。子どもたちは「個人的なあそび」と「集団でのあそび」、少人数の活動と大人数での活動を経て、個と集団から得られる多様なスキルを身につけていきます。活動ルーティンにはそれぞれに意味があり、学校生活やその後の人生を自分の手で切り開いていくのに必要な能力を発達させます。

Small-group time(小グループ活動)

  • あそびの計画や振り返り、または制作活動をする際など、小グループでの活動は大人が子どもと対話をしながら個々の発達に適切なサポートをする
  • 大人が子どもの発達段階や興味を考えて活動や教材を選択する
  • 枠組み(大人が考えた)の中での、子どもたちの発想を大切にする
  • 同じ活動や教材を前にして、一人ひとりの子どもがどのように考えたり反応したりするのかが見えやすいため、子どもの観察を行う重要な機会でもある

Large-group time(大グループ活動)

  • 教室内にいるすべての子どもと大人が一緒に活動を行う時間
  • 活動の内容は、歌、物語の読み聞かせ、手あそび、ゲーム、ダンスなど
  • 大人は、大人も含めた全員でできる活動を計画する
  • 全体で活動しつつも、一人ひとりの子どものアイディアを大切にし、時には取り入れることもある

アセスメント

日々の活動計画を適切に行うため、質の高いプログラムを安定して提供するために、子どもとプログラムの評価を行う

ハイスコープカリキュラムでは子どものアセスメント(評価)も、カリキュラムの根底にある重要なものの一つです。ここでいう「評価」は、テストの点や成績のような評価とは違い、子どもの普段のあそびを客観的に観察したうえで、発達段階などを記録したものです。大人は注意深く子どもを観察し、子どもの発達を見極めることで、より効果的な学びを計画することができます。
また、プログラム導入園自体にも評価基準が設けられ、日々の活動がハイスコープの基準に沿って行われているかチェックすることで、質の高いプログラムを維持できるようにしています。チェック項目は大きく4つに分かれ、「さまざまな使い方ができてあそびが広がる教材・素材の用意」「教材の整理整頓、ラベリング」などの教室環境から、「あたたかく支援的な雰囲気」「自立的問題解決の尊重が行われている」などの大人とのかかわり、日々のルーティンや、カリキュラムの計画に関することまで、細かくチェック項目が設けられています。

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カリキュラムの内容

ハイスコープリキュラムは、50年以上にわたる幼児期の発達研究に基づき、3〜5歳の子どもに必要な学びが盛り込まれています。その内容は、ハイスコープ独自の指標「KDI(Key Development Indicator/重要発達指標)」に反映され、ハイスコープの基盤を支えています。KDIはハイスコープ幼児教育を行う際の指標となり、大人が日々の活動を計画したり、子どもの発達程度を把握したりするために使用されます。

KDI(重要発達指標)

  1. 学びへのアプローチ
  2. 社会性と情動の発達
  3. 身体発達と健康
  4. 言葉、読み書き、コミュニケーション
  5. 算数
  6. 創造的な表現活動
  7. サイエンスとテクノロジー
  8. 社会

KDIは「学びへのアプローチ」や「社会性と情動の発達」など8つのカテゴリに分かれていますが、一つひとつはさらに細分化され、合わせて58もの項目に分かれています。例えば「社会性と情動の発達」のなかには「情動:自分の感情を意識し、名前をつけ、制御する」という項目があるなど、子どもに必要な自立や好奇心、協調性、持続性、創造性、問題解決の力が今どの程度あり、活動のなかでどう伸ばすかの指標となります。
KDIがあることで、大人は「幼児にとって重要な学びとはなにか」を常に念頭に置いた状態で、意図的な活動を行うことができます。KDIは、どの国でもどの教室でも、大人の経験値に左右されることなく、ハイスコープの理念に沿った質の高い活動を行うためのツールでもあります。